あとは参議院~「不同意性交等罪」

先月30日に衆議院本会議で全会一致で可決した「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案」が参議院に送られ、法務委員会での審議が待たれています。中でも「不同意性交等罪」に注目が集まっています。

 

2017年6月、110年ぶりの性犯罪に関する刑法改正が行われた際、強制性交等罪が被害者本人が告訴しないと起訴できない「親告罪」でなくなったことが大きく報じられました。罪に問うかどうかを被害者本人が決める負担が問題とされてきたからです。

また男子も性被害の対象となり、家庭内での性的虐待を念頭においた監護者性交罪も新設されました(教員やスポーツ教室の指導者が対象外となったのが悔やまれる)。

さて、この時「施行後3年をめどに検討ならびに所要の措置をとること」と法律の附則に記されたことから、2020年から性暴力被害者を含む検討会、2021年からは法制審議会で見直しへの議論がなされてきたことが今国会につながります。附則とはいえ、期限付きの見直し条項、大切ですね。

今改正案は、強制性交等罪と準強制性交等罪を一つにし「不同意性交等罪」とするものですが、関わってきた方々のお話から、「不同意」には強いメッセージが込められていることを知りました。「暴行や脅迫以外にも拒絶できない環境はある」「どんな関係でも同意のない行為は犯罪になり得る」というメッセージです。

また、今改正では10年だった時効が15年になります。起算が18歳なので、被害者が未成年なら33歳までとなりますが、子どもの時に受けた性暴力は、被害だと認識できるまでに長い時間がかかることから、5年の延長では短すぎるという声が上がっています。フランスやドイツは性被害当事者への長期的な実態調査を重ね、それをもとにフランスでは48歳まで、ドイツでは51歳までに時効を改正してきたそうです。

世界の国々で一人ひとりが語った辛い経験が、語れなかった人たちも含めた大勢に響き拡がり、その力が法律を変えてきたと言えるのではないでしょうか。性暴力という人権侵害を絶対に許さないというメッセージを法律で示すことが、2017年附則にある「所要の措置」であり、今こそ立法の府が職責を果たす時です。解散するのはその後にしてほしい。