排泄は、災害時でも待ったなし!

東日本大震災から学ぶために、加藤篤さん(NPO法人日本トイレ研究所)が講師の防災講座「災害時にトイレは使えるの?」に参加しました。阪神淡路大震災の時と同様に、避難所で最も深刻な問題となったのが「トイレ事情」です。

被災から3時間以内にトイレに行きたくなった人31%、9時間以内では78%にもなっていますが、避難所の水洗トイレが使えない、仮設トイレが届かない(3日以内到着34%)ために、すぐに排泄物であふれて最悪の状態です。トイレに行くのが嫌で水を飲まない、食べ物も控えてしまった結果、体力が落ちて感染症にかかり、下痢、発熱、嘔吐、脱水症状で体調不良を訴える人が長期に続く事態を招きました。避難所の衛生状態の良し悪しが医療の機能をも左右します。阪神淡路大震災の教訓が生かされなかったと、加藤さんは残念そうでした。 

避難所では、真っ先にシート吸収タイプのトイレ袋を便器にかぶせて、最初の一人目がじかに使用するのを防ぐこと。避難誘導や水、食料の確保はその後でも充分間に合う。また防災倉庫に備え付けてある組み立て式トイレは、かなり難しいので訓練をしておく。

集合住宅の場合は、1階に排泄物が逆流する事態を防ぐためにもトイレ袋を使用し、排水が機能しているか慎重に様子を見てからにする。戸建でも、庭先に穴を掘るのは簡単ではないのでトイレ袋の準備を怠らない。 

他には、バケツに汲んだ水で流す時は、詰まりを防ぐためにも充分な量をタンクの方に入れて使う。し尿の回収は最低でも1週間はかかるので各自保管し、他のごみと分けて回収を頼む。トイレ袋は1日の尿量と吸収量、家族数などを計算して準備するなどの注意点を教わりました。

排泄はどんな時でも待ったなしですが、プライバシーを確保しにくい災害現場では女性が性犯罪に巻き込まれることが多々あります。トイレはライフラインと捉えて、水、食料と一緒に準備をし、支援も得られるような防災計画が必要だと思いました。               

環境部会   南雲玲子

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