子どもへの性犯罪、社会全体での防止を考える
最近、先生による性犯罪や、生徒が被害にあうニュースを目にすることが増えています。教育の現場で起きるこうした事件は、子どもたちの安全や信頼を大きく揺るがすものであり、保護者としても市民としても、非常に強い憤りを覚えます。
文部科学省の調査によると、性犯罪や性暴力で処分を受けた公立学校の先生は、2022年度に241人、2023年度には320人と過去最多となりました。
件数が増えている背景には、これまで隠されがちだった事案が表に出やすくなったこともありますが、スマートフォンやSNSの普及で盗撮や不適切な接触がしやすくなったことも大きいと考えられます。
とはいえ、見つかっているのは氷山の一角にすぎません。盗撮や児童へのわいせつ行為は「見つからないこと」を前提に行われます。実際の被害は統計以上に存在すると見ておくべきでしょう。
こうした性犯罪の土壌として、特に見過ごせないのが、有害な性コンテンツの氾濫です。
1999年には児童ポルノ禁止法が施行されましたが、今では小学生でもスマートフォンを持ち、フィルタリングをかけていても広告やSNS経由で簡単に過激な画像や動画に触れてしまう現状があります。
人権を基にした性教育の基盤なく、ポルノで性を学んでしまう環境は、若者の性に関する意識形成に大きな悪影響を及ぼします。
性犯罪は、被害者に長期的な心の傷を残し、学業や将来の選択、さらには社会での活躍までも妨げます。
つまり、子どもたちが安心して学び、成長できる社会をつくるためには、起きてしまった犯罪への厳しい対処はもちろんですが、それ以上に「性犯罪者を生まない社会づくり」が欠かせません。
有害コンテンツへの規制強化、そして性差別的な表現への”NO!”の声を、社会全体で大きくし、進めていくことが必要だと思います。
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参考:
文部科学省「令和4年度公立学校教職員の人事行政状況調(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/jinji/1411820_00007.htm)
文部科学省「令和5年度 公立学校教職員の人事行政状況調査」(https://www.mext.go.jp/content/20241220-mxt_syoto01-000039268_46.pdf)