「助けて」と言えないお母さんへ――産後の孤立をなくすために
先日、過去3年間に162人の妊産婦が自ら命を絶っていたという調査結果が報じられました。調査開始から3年連続で20代前半は妊娠中、40代前半は出産後にリスクが高いという結果には、より深い検証が求められます。
出産後の母親のうつについては、以前より認知されていますが根本的な解決には至っていません。人間の土台が形成される乳幼児期のケアを担う、おもにお母さんの心と体が守られていることは、本人はもとより赤ちゃんが健やかに育つためにも不可欠です。産後ケアは“未来への投資”であり、極めて優先順位の高い課題だと言えるのではないでしょうか。
鍵になるのは「孤立させないこと」。体も心も不安定な時期に、夫の協力が得られない、実家に頼れない、地域に知人がいない──そんな中で“家族だけ”に育児を委ねるのは酷です。「育児は社会で担うもの」という意識を定着させる必要があると思いますが、参議院選挙に向けての各党公約を見ても、妊産婦ケアや孤立対策への明確な打ち出しは乏しいと言わざるを得ません。
「助けて」と言えない、あるいは限界に気づかないまま頑張るお母さんにそっと手を差し伸べ、「ひとりじゃない」と感じられる仕組みが必要です。
産めよ増せよの視点ではなく、一人の女性の長い人生を支える視点での政策を、私たちもより一層求めていきたいと思います。