人々の思いと歴史が詰まった100年の森を何としても守りたい~神宮外苑再開発問題~

11月16日、東京・生活者ネットワーク主催の神宮外苑の見学に参加しました。イチョウ並木は青い空に黄金の葉っぱを輝かせながら私たちを待っていました。しかし、見学に先立って11月7日に都庁で元東京大学教授の大西隆先生の講義を受けていたので、晴れた空とは裏腹に複雑な心境でした。

神宮外苑はその経緯からみて、純然たる私有地とはいえません。練兵場跡地だった国有地を明治神宮の境内地として、当時の相場の半額で払下げられました。その際、・国民が公平に利用できる・民主的運営をする等の条件が付けられたそうです。その後、外苑は記念施設、スポーツ施設、林泉地の3機能は広く親しまれ、日本初の風致地区としてその景観と自然が守られてきました。公共性の高い場所なのです。ああそれなのに…。

2011年2月。ラグビーワールドカップ2019日本大会成功議員連盟(当時最高顧問が森喜朗、顧問は安倍晋三、麻生太郎)による決議以来、このエリアの都市計画上の規制緩和は着々と進められ、今日に至っています。

皆さんに知ってもらいたいことは、

1.おおよそ1000本以上の高木の伐採、もしくは移植するとしているが、大木の移植は大変難しく伐採に等しい。

2.親しまれてきた神宮球場は今の秩父宮ラグビー場の場所に移転し、建て直しの際は80mのホテルが併設される。

秩父宮ラグビー場も国立競技場のそばに移転。屋内+人工芝の予定だが関係者から反対の声が上がっている。

3.再開発促進地区制度による容積率移転で建設される高層ビルが、良好な景観を阻害し、ビル風など発生させ自然保護上大きなリスクになる。

4.人類の遺跡や歴史的建造物など、文化遺産保全のための国際組織イコモスが再開発の中止を求める警告文書を公開した。

…など問題は山積しているということです。

 

イチョウ並木を抜け神宮球場、現在解体中の第2球場、そして今回の解散地点の絵画館からイチョウ並木を振り返ると、伊藤忠の東京本社が周囲を威圧するように高くそびえていました。再開発ではこの倍の高さになるという何という暴挙。人々の思いと歴史が詰まった100年の森を何としても守りたい思いでいっぱいでした。 (原田 恭子)