多摩市なな山緑地の植物標本展「明日へ繋ぐ里山の記録」閉幕

「首都大学東京・牧野標本館」、「多摩市なな山緑地の会」共催の植物標本展が閉幕しました。2年がかりで標本庫に納めた、なな山の植物382点の中から50点を選び展示。広報活動と口コミの成果もあり、期間中の来館者数 786名。

なな山緑地の会のみなさん


来館者からは、「丁寧な仕事、植物の美しさと力強さを感じる」という感想をいただき、指導にあたった加藤英寿助教からは、「地域愛と誇りを感じる美しい標本。市民との協同で実現した成果」と褒めていただきました。この先は、牧野富太郎博士の標本やシーボルトコレクションと共に、永く担当者全員の実名入りで標本庫に眠ることになります。
始めたばかりの頃、根っこの掘り起こしに苦戦し、絡まったツルをほどき、人の手も借りながら新聞紙に載せて花や葉を広げ、乾くまでの間せっせと新聞紙の取り換えに奮闘したことまで、今は良い思い出になりました。

展示準備


植物の世界は、悠久の時の流れの中で、交雑と絶滅を繰り返して今に至っています。多摩市和田の住宅地に挟まれ、持ち主や大勢の市民の努力で残った2,7haのなな山緑地の植物標本は、この時代のこの場所に確かに存在した現物証拠。はるか未来に、環境の変化が植物にもたらす影響を解き明かす手がかりを残せたと思います。意義深い取り組みに参加でき、忘れられないものになりました。

環境部会   南雲玲子