数万羽のマガンの飛び立ちに感動!生物多様性を考える

夕方、あちこちからねぐらに帰ってくるマガンたち。

夕方、あちこちからねぐらに帰ってくるマガンたち。

多摩・生活者ネットワーク環境部会は、11月13日~15日、宮城県の伊豆沼に行ってきました。夏に市内でツバメの調査をし、人の生活と渡り鳥との強いかかわりを知り、もっと鳥を通して生物多様性を考える機会を持ちたいと企画したものです。

 

伊豆沼は秋から冬にロシアから渡ってくるガンやカモ、ハクチョウ類の越冬場所で、国指定の鳥獣保護区であり隣の内沼とともにラムサール条約登録湿地に指定されています。10月頃から、数万羽のマガンが飛来します。マガンは昼間は周囲の田んぼで落ち穂を食べ、夜になるとねぐらの沼に帰ってきます。この数の鳥たちが、10月~2月の間毎日この生活を繰り返します。沼には他にもハクチョウも多くやってきます。こちらは沼に生えるハスの根を食べるそうです。

私たちは、沼のほとりの宿に泊まりましたが、夜中まで鳥の鳴き声がしていました。近所の方々はさぞうるさいことだろうと聞いてみると、「また今年も忘れないでやってきたな」と鳥たちを可愛がっている様子でした。

夜明け前から徒歩で観察場所に向かうと、望遠カメラを構えた方々がびっしり。みなさん、夜明けの飛び立ちをカメラに収めようと、防寒し待ち構えています。夜明けとともに鳴きながらVの字の形になって飛ぶマガンたちを見ていると寒さも忘れ、けんめいに生きる鳥たちに叱咤激励されたような気がしました。しばらく飛び立ちを見ているとすっかり日も上がり、沼のマガンたちはすっかりいなくなり、ハクチョウやカモが残りました。

日が昇ると今日の活動開始です。飛び立つマガン。

日が昇ると今日の活動開始です。飛び立つマガン。

周囲で米を作る農家の方々があってこそ、長い間渡り鳥が毎年この沼にやってきます。ここでも人の生活と鳥の強いかかわりがありました。

環境部会 小笠原敦子