「おりづる工務店」を訪ねて

若年性認知症のディサービス

作業中の「おりづる工務店」のスタッフと多摩ネット福祉部会メンバー
作業中の「おりづる工務店」のスタッフと多摩ネット福祉部会メンバー
 若年性認知症は65歳未満で発症する認知症で、全国で約37,900人と推計されています。診断年齢は40歳から54歳頃が多く、職務や社会的役割に最も意欲的で責任の大きな時期であるため、本人や家族の困惑は非常に大きなものです。40歳以上であれば介護保険サービスの利用が可能ですが、高齢者向けのプログラムに馴染まず、一挙に社会との関係性を失っていくケースが多いようです。こうした中、本人の「働きたい」という声に応え、就労型プログラムを取り入れているデイサービスを町田市に訪ねました。

 町田市のおりづる苑せりがやでは、毎週土曜日に「おりづる工務店」として若年性認知症対応の就労型プログラムを実施しています。仕事先は市内の保育園、窓磨きなどの掃除、ペンキ塗りなどが主な作業です。この日は園庭にあるテーブルのペンキ塗り作業に同行しました。50代後半の男性2名は、ハケを手に活き活きとペンキを塗っていきますが、細かい部分には職員やボランティアの支援が必要となります。
 同事業所では平日にも小学校の掃除や畑仕事などの作業プログラムがあり、若年性認知症の方に限らず高齢者も参加可能。「仕事を通して自信や人からの評価を得ることは周辺症状の予防につながります。何より作業をした日は家に帰ってからの表情が全く違うとのご家族の話です。」職員の方のお話が印象的でした。

多摩・生活者ネットワーク 福祉部会部長 山本 和泉